ニコ一家屋と区分所有法

ニコ一住宅についての疑問があったので自分なりに検討してみた。

相談者、曰く。

1 雨漏りがするからと言って、べつに私が所有する部屋の上の屋根のことではないから、相手が私に雨漏りのする屋根の修理代金を請求するのは不当であり、私に当該代金の一部を支払う責任はない。

2 屋根は相談者と相手と共通である。つまり、共通(相談者とその相手の「部屋」の上の屋根は一見、一つではあるが)ではあるが共有かどうかは、まだわからない。

3 敷地が共有かどうかについての言及はないものとする。

 

まず最初に頭に浮かんだのが区分所有ではないのか、ということである。建物の区分所有に関する法律の適用があるかどうか。この法律の適用があるとすれば、この法律に従えばよい。

建物の区分所有に関する法律(以下、区分所有法、という)第1条 「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」

この法律によらなければ一棟の建物を区分所有の目的とすることができない、と読める。では、相談者のいう「所有」とは何処から出てくるのだろうか。区分所有法が施行される前であれば、やはり、共有ということになるのか。裁判になったとき裁判官はどの法律を根拠にしたのだろうかと考えるに、それはやはり民法だろうと私は思う。

4 区分所有であると仮定する。そうなると屋根の部分は区分所有法第11条第1項により別段の規約が無ければ、共有となる。とすれば、民法の規定により保存行為をした相手は相談者に応分の費用の支払を求めることができる。

5 しかし、それぞれの部屋が区分所有法上の区分所有の目的ではなかった場合を考えてみる。この法律ができる以前からこのような建物は存在したはずで、当時の法律ではこのような法律的紛争に対応することが困難であったという事情があったはずである。

6 法律ではこうなっているから、こうだ。という言い方は私も時にはするが、実体法上の権利義務よりそれを実現するための手続きが大変だったりすることはよくあることである。それにこの問題を解決に導くための「材料」が少なすぎる。ここは、登記事項証明や、もしあればの話であるが、この「共有らしき建物」を建てたときの契約書あるいは契約書ではなくても「約束事」についてもっと詳細に把握する必要がある。また、双方が納得いく結論が得られなければ訴訟になるほかはあるまい。